茶文化

お茶の製法

摘み取り又は刈り取ったお茶(ここでは煎茶や玉露)の葉は、いくつもの工程を経て加工されます。 現在ほとんどは機械で行われていますが、その原理は永谷宗円が編み出した青製煎茶製法を礎とする手もみ製法をもとに考案されました。

手もみ製法

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  • 手もみ製法
  • 手もみ製法

 現在の手もみ製法は「青製煎茶製法(宇治製法)」の流れをくんでおり、茶業関係者により伝承されています。
平成19年度、宇治茶の手もみ製法は京都府の指定文化財(無形民俗)となりました。

蒸し 湯を沸騰させた釜の上に「甑(こしき)」を置き、その上に載せた「蒸籠(せいろ)」に茶葉を入れて蒸す。一端蓋をとって長い箸で混ぜて均一に蒸し上がるようにし、蓋をして蒸気の香りが変わったら甑からおろして冷却台に移し、風で充分にさます。
露切り
約25分
さました茶葉を焙炉の上の「助炭(じょたん)」に拡げて、手で拾い上げて30~40cmくらいの高さからふるい落として表面の水分を取る。
横まくり
(回転)
約1時間30分
両手を左右に動かして茶葉を転がしながら揉み込む。やがて体重を載せて左右や前後に緩やかに回転させて揉む。茶葉の水分は50パーセント程度に減少する。
玉解き
約5分
横まくりの際、茶葉が団子状に固まったものを、指先を熊手型にして前後左右にかきまぜて解きほぐす。
中上げ
約10分
玉解きが終わった茶葉を助炭から取り出し、浅い中火籠に薄く広げてさまし、その間に助炭面の茶渋をぬぐい去る。
茶揃え
(揉みきり)
約30分
手揉みで最も技巧を要する工程で、茶葉を挟んだ両手を前後にすりあわせ、手の中で揉まれた茶葉が上下に飛び散るようにする。
でんぐり
約20分
茶葉を助炭中央にまとめ、両手で側面を押さえるようにして持ち、押し手と受け手を抱き合わせるように斜め左右に振り動かし手の中の茶葉が擦れ合うようにする。茶葉の形状が整えられ、針のように伸ばされる。
板ずり
約50分
茶葉をいったん片隅に寄せて、残った粉を助炭にのり付けしてもみ茶のすべりを少なくし、板をはめる。その板に茶葉を付けて両手で葉揃えしながら上下に旋転摩擦し茶葉をまっすぐに伸ばし、光沢を増す。
乾燥
約40分
助炭に薄く散布して低温(60度)で乾燥する。水分が4パーセントくらいになるまで乾燥すると放冷してから貯蔵する。

機械による製茶

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明治以降、製茶に使用する機械が開発されていき、現在は茶葉を蒸す段階から乾燥までほぼ全工程を自動化できるようになりました。
製茶機械は手もみ製茶の工程を再現するためその原理を研究したものです。

蒸熱
(じょうねつ)
コンベアーに載せられた茶葉が蒸機の中を通過するとき蒸気により蒸し上げられる。蒸機の中では茶葉がかくはんされてムラ無く加熱される。蒸機から出た茶葉はコンベアーの上で風を送られ、冷却されて蒸し露を飛ばされる。
粗揉
(そじゅう)
「揉み手」が回転する粗揉機で、茶葉を加熱、揉捻、かくはんしながら水分を取り除きながら「より」と「しまり」が与えられる。
揉捻
(じゅうねん)
金属棒が弧状に取り付けられた揉み盤の上で茶葉を入れた揉み桶が回転することで加圧し、旋転することで茶葉の水分を均一にし、組織を軟化させる。
中揉
(ちゅうじゅう)
円筒形の胴体内部に揉み手が取り付けられた中揉機で、熱風を送りながら回転させ、茶葉を軽く押さえ揉みながら上乾きを防ぎ、よれ形をつけて平均的に水分を蒸発させて形状を整える。
精揉
(せいじゅう)
中揉の終わった茶葉を精揉機に入れる。上からの圧迫と下からの加熱で揉まれながら茶葉が伸びて整形され、光沢を出す。
乾燥 茶葉を乾燥機に入れて水分を4パーセントほどになるまで乾燥させる。